ライターの取材術 インタビュー取材に潜む落とし穴

インタビュー取材 事前準備に潜む落とし穴

ライター事務所「ツムギヤ」のアキラ(@510tsumugiya)です。

ライター業を始めて間もない人が、さらに上のレベルを目指すステップとして、インタビュー取材に挑戦するケースがありますよね。

インタビュー取材ができるようになると、ライターとして仕事の幅が格段に広がります。

家庭の事情などから、ネットや書籍など自宅で入手できる素材を元に原稿を書くスタイルの方も少なくないと思います。

ですが、インタビュー取材では相手の表情やしぐさ、言葉づかいなど、人と相対するからこそ分かること、感じることがたくさんあり、それらを記事に反映させることができれば文章の深みがぐっと増します。

一方で、インタビューは経験がないと相当、緊張することも確か。

本番の緊張を少しでも和らげる意味でも、事前準備として取材対象を下調べするなどし、質問項目を用意しておくことは基本でしょう。

ですが、当たり前に思えるこの「質問項目を用意すること」には思わぬ落とし穴が潜んでいることを知っていただきたいと思います。

他人が書いた文章の内容を「なぞる」だけに終わる危険性

質問項目を考えるのは、基本的に聞き漏らしがないようにするためです。

取材相手によっては、聞き忘れたことがあっても、なかなか確認できないケースがあります。

忙しい著名人、芸能人などもそうでしょう。一度の取材で聞くべきことはすべて聞きたいですよね。

僕も取材前は、インターネットや書籍などで取材対象のことを書いた記事などに目を通します。

そして、取材内容にもよりますが毎回、最低20~30個程度は質問項目を用意して、取材時にその質問をぶつけます。

ですが、この作業には大きな危険が潜んでいます。

それは、質問を考えるために目を通した「誰かが書いた文章」の内容を確認する(追いかける)ことに終始してしまうおそれがある、ということです。

新しい要素がないコンテンツは書く意義が薄い

「『誰かが書いた文章』の内容を確認する」ことが、どうして良くないのでしょうか?

それは、知らず知らずのうちに、最終的に誰かが書いた文章を「焼き直した」ような原稿を書いてしまい、新しい要素が記事にまったく盛り込まれていない危険性があるからです。

その結果、誰かが書いた文章を超える要素がないコンテンツになるおそれがあります。

誰かが書いた文章以上に目新しい要素がない、ということは、つまりすでに公になっている話ばかりを詰め込んだような記事ができあがる、ということです。

実際、このような記事ができあがるケースは多いです。

一定レベルのメディアであれば、記事を書いたライターは「誰も書いていないような、おもしろい話を盛り込もう」ぐらいの意気込みは持っています。

なので、公になっている記事は、それなりに「面白くて新しい」要素が盛り込まれています。

そんな記事を目にすると「この話面白いな。自分が書く記事にも同じエピソードを盛り込みたいな」と思うのはライターの本能かもしれません。

取材のテーマ上、同じ話を書いてもいい場合はあるとは思います。

ですが、プロのライターを名乗るのであれば、誰も聞いたことがないオリジナルの話を盛り込もうとする努力は最低限度、必要なはず。

「ああ、この話、どこかで読んだことあるな」と気づかれる記事は、書く意味がないとまでは言いませんが、書く意義は薄いといえます。

プロであれば意地を見せよう

例えば、ある人を象徴するようなエピソードであれば、いろいろなメディアで何度も登場してもいいでしょう。

ですが、仮にもライターを名乗り、文章を書いてお金をもらうのであれば、意地を見せたいですよね?

だれも書いたことがないすばらしいエピソードを世に知らしめて「あの話最初に書いたの俺なんだよな」って、言いたいですよね?

プロであれば、それぐらいのプライドがあってもいいのかな、とは思います。

僕も記事を編集する仕事をしていた経験がありますが、一定の経験がある編集者であれば、その原稿を書くのにどれだけ労力を費やしたか、あるいはどれだけ手抜きしたか、はすぐに分かります。

「世に出ていない新しい話」を見つけるのは、取材対象が大きいほど難しいですが、挑戦する価値はあります。

「脱線」に付き合う、あえて「脱線」させる、という手も有効

まだ世に出ていない話を引き出すポイントは、用意した質問項目にとらわれないことです。

用意した質問は聞くとして、取材中、思わぬ方向に話が「脱線」したときでも、しばらく相手に付き合って、話に耳を傾けてあげてください。

面白い話が飛び出すのは、そんな時です。

1つ質問して答えを聞いて、また次の質問をして答えを聞いて……という「一問一答」のように機械的な取材は、インタビュー取材に慣れていない人にありがちですが、これでは想定内の話しか聞けません。

取材慣れしている人は、聞かれる質問がいつも同じなので、悪気なく同じ話ばかりを機械的に話す傾向があります。

話を聞きながら「この話題、しゃべり慣れているな」と思ったら、こちらから話を脱線させるのも手です。

そういえば、こんなこともあってね…」なんて話始めれば、しめたものですね。

インタビューはアポ取りにはじまり事前準備、相手を不快にさせない気づかい、身だしなみなど、気にしないといけない事柄は無数にあります。

ですが、やっぱり直接会って話を聞く取材は、その大変さを補って余りある成果を得られることは間違いないです。

敷居の高いと思われているインタビュー取材。ワンランク上のライターを目指すために、挑戦してみてはいかがでしょうか?

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