分かりやすい文章の書き方 高度なテクニックは不要 たった一つのコツとは 

「専門用語は×」「一文は短く」…… ネットにあふれる『分かりやすい文章の書き方』

ライター事務所「ツムギヤ」のアキラ(@510tsumugiya)です。

仕事がら「分かりやすい文章の書き方」を尋ねられることがあります。

分かりやすい文章の書き方に関しては書籍も多いですし、インターネットで検索してもたくさんのサイトがヒットします。

「専門用語は使わないこと」
「要点は簡潔に」
「読みやすいよう一文は短く」

いろいろなアドバイスが書かれていますよね。

個人的に、分かりやすい文章を書くためのコツは、たった一つだと考えています。

今回は、それを紹介させてください。

「誰に向けて書くのか」を、よく考えるだけでOK

分かりやすい文章を書くための最大のポイントは、ずばり「誰に向けて書くのか」を、よく考えて整理することです。

これだけでOK。

詳しく解説していきます。

「誰に向けて」は「読者を想定する」ということ

書こうとする文章が、誰に読まれることを前提としているかを考えることは非常に重要です。

僕は釣りが趣味ですが、釣りを例に挙げてみたいと思います。

釣り専門雑誌に、次のような原稿を書いたとしましょう。

釣り旅行の最終日は、やはり朝マヅメに勝負をかけた。
潮も上げ七分で申し分ない。
この日までボウズ続き。このままでは帰れない……。
そう思っていた矢先に、ラインが猛然と走り出した! チリチリとドラグが鳴り---

釣りを知らない方にとっては、おそらくチンプンカンプンですよね?

この文章は、釣りに詳しい人が読むことを前提として書いてあります。釣り専門雑誌なので当然でしょう。

釣りをしない人には、よく分からない単語だらけだと思います。

いくつかの単語を説明すると……

「朝マヅメ」=釣りではゴールデンタイムと言われる夜明けの時間帯
「ドラグ」=思いがけず大物が釣れた際、釣り糸に強度以上の力が加わり糸が切れてしまうことを防ぐリールの機能

業界用語のようなものですが、釣り専門誌を読むようなレベルの人であればほとんどの人が知っている単語です。

よく「文章を書くとき専門用語は使わない」とアドバイスしている指南書もありますが結局、ケースバイケースなんですよね。

仮に、上の文章を、専門用語を使わずに「だれでも分かる風」に書き直してみましょう。

釣り旅行の最終日は、やはり釣りではゴールデンタイムと認識されている夜明けの時間帯に勝負をかけた。
潮も、干潮から満潮までの時間を十とした場合、干潮から始まり今は七割程度。釣りにはいいとされるタイミングで申し分ない。

この日まで魚が一匹も釣れない日々が続いた。このままでは帰れない……。
そう思っていた矢先に、釣り糸が猛然と引っ張られ始めた! チリチリと、思いがけず大物が釣れた際に使われる糸に強度以上の力が加わり糸が切れてしまうことを防ぐリールの機能が鳴り---

まどろっこしい! 特に後半!

釣り専門誌としては、読みにくくてイライラします。せっかくの雰囲気も壊れてしまっている印象です。

ウェブなどで不特定多数の人をターゲットとした文章であればこれくらい丁寧な説明は必要かもしれません。

ですが、釣り専門誌であればここまで書く必要はないでしょう。

「誰に向けて書くのかを想定する」とは、このような作業を指します。

読み手をイメージし想像力を働かそう

「誰に向けて書くのかを想定する」

これは、言い換えると「こんな人に読まれるから、あんな表現やこんな内容で書かないといけない」と想像力を働かせ、あれこれと思いを巡らせることです。

分かりやすい例を挙げてみます。

・高齢者が読者=若者言葉や横文字を使わない
・子供が読者=難しい漢字や表現は使わない。ひらがな多めがいいかも

読み手に対する愛情、と言えるかもしれませんね。

次は少し難易度を上げた応用編。

・長崎県民が読者=長崎県内の市町村名を書く際、市町村名の前に「長崎県」と入れる必要はない

長崎県には佐々町(さざちょう)という町があります。

長崎県民であれば、そのような町があることぐらいは知っています。ですが、他県の人がいきなり「佐々町」と聞いても、どこの県にあるのかすら分からないでしょう。

なので、長崎県の広報誌など県民が読者の媒体であれば「佐々町で~」もOK。ですが、全国に発信されるWEB上などでは「長崎県佐々町で~」と書き分ける必要がありそうです。

一般的な「分かりやすい文章の書き方」で紹介されているような「専門用語は使わない」「若者言葉や横文字はできるだけ避ける」といったテクニックは結局、ケースバイケース。どんな文章でも当てはまるわけではありません。

このあたりのテクニックは一つひとつ覚える必要はないでしょう。

それは「誰に向けて書くのか」をよく考えれば、自然とたどり着けるはずだからです。

「上手な文章」と思わせる高度なテクニックもありますが……

読み手に「この文章はうまい!」と思わせるテクニックはたくさんあります。

分かりやすい例では、

・最初に読者の心をつかむため書き出しにインパクトを与える
・巧みな文章構成
・豊かな表現力
・スイスイと読みやすい

ここで、ぜひ確認して頂きたいのは「分かりやすい文章」と「上手な文章」は、まったくの別物だということ。

これを混同しているサイトは非常に多く、読者を混乱させているように感じています。

分かりやすい文章を書くのに、高度なテクニックは必要ありません。

そもそも、文章を書くことを仕事としている人でない限り、そこまで凝った文章は必要ないというのが僕の意見です。

普段、文章を書く機会といえば、メールやSNSぐらいじゃないでしょうか。

さらに加えるとしても、せいぜいブログか時々手紙やハガキを書く程度ですよね。

身に着くか分からない難しいテクニックを学ぶより「誰に向けて書くのか」をしっかり考える方がずっと大切です。

それにテクニックを学ぶと、どうしても使ってみたくなるんですが、そもそも文章力って見せつけるものではありません。

どこかから借りてきたような表現
ハナにつく言葉遣い
技巧に走った文体

テクニックをこれみよがしに使いまくった文章は、読者にかえっていやらしい印象さえ与えます。

個人的な感想ですが、文章はお刺身と一緒。素材が本来持っている価値を殺さないようにさばくだけで十分でしょう。

ちなみに、このブログはたくさんの人読んでいただきたいと思ったので「もう少し文章を上手く書きたいけれど、テクニックを勉強するのは面倒なので、これだけ覚えれば! というコツはないかな……」と思っている人向けに書きました。

分かりやすい文章を書くコツは、だれに向けて書くのかをよく考えること。

これだけ意識すれば十分。

きっと愛情のこもった文章になるはずですよ。

 

 

 

 

 

 

 

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