インタビュー・取材ではICレコーダーを極力使わないのがおすすめ ライターの基本技術

ライターなら1本は持っていたいICレコーダー 確かに便利だが……

ライター事務所「ツムギヤ」のアキラ(@510tsumugiya)です。

ライターを生業としている人に限らず、現在はICレコーダーを持っている人が多くなりました。音声を録音できるスマホもありますね。

僕もICレコーダーを持っています。新聞記者時代に購入したものです。

昔、ご年配の先輩記者は、カセットテープを使って録音する信じられないくらいバカでかいレコーダーを持っていました……。懐かしい。

あると非常に便利な場面もあり、1台はカバンに忍ばせておきたいアイテムではあります。

ですが、個人的には新聞記者時代を含め、一般的な取材でICレコーダーはほとんど使いません。

メリットがある一方、確実にデメリットもあると考えるからです。

今回は、主にデメリットに焦点を当てたいと思います。

ICレコーダー メリットをおさらい

まずはメリットから確認します。

あまり詳しく説明する必要はないかもしれませんが念のため。

・取材相手が話した内容を確認できる

取材音声を録音する最大の理由ですね。当たり前すぎでしょうか。

取材内容があいまいだったりメモが汚すぎて読めなかった場合など、取材後に電話などで内容を確認できればいいでしょう。

ですが著名人など多忙な人の場合、すぐには確認できないことも多々あります。締め切りが迫っているときは困りますよね。

そんな時、録音音声があればすぐに内容を確認できます。

また、取材相手が外国人の時も役立ちます。

英語などでペラペラとしゃべられると、普段英語を使っている人でも思った以上に相手の訛りがひどくて聞き取れないケースも。そんな時も便利ですよね。

ですが、基本的に取材時、聞き取れなかったりしてあいまいだった内容は、すぐその場で確認することが鉄則だということは忘れたくないです。

・「言った言わない」のトラブルを避けられる

上記の「内容を確認できる」の派生バージョンです。

ライターの方であれば取材後、記事になった媒体を取材対象が見て「こんなことは言っていない!」と強弁された経験が一度はあると思います。

原稿を公にする前に内容を確認してもらうケースもありますが、確認してもらわない場合もあります。

ジャーナリズム関係の原稿などはそうですね。この手の原稿は、相手のいいなりに文章を直すと、単なる「広告」になったり、事実がゆがめられたりするおそれがあります。なので、取材相手に内容を確認してもらうようなことはしません。一方で、トラブルも起こりがち。そこで録音音声が役に立ちます。

また、人は話をしているときは調子よくスラスラしゃべっていても、いざそれが活字になると「こんなことまで話して良かったのかな…。怒られないかな」と、急に弱気になるケースが多いです。

そんな時に「こんなことは言っていない!」と修正を求めたりするケースもあります。これもジャーナリズム関係の取材で多いです。

音声があれば「いやいや話していましたよ。これ聞いてください」と、トラブルを避けることができます。

ICレコーダーを使うデメリット

次にデメリット。

メリットばかり注目されがちですが、今回はこちらが本題です。

・録音することで取材相手が身構えてしまうことがある

レコーダーを使うときは、もちろん「録音してもよろしいですか?」と事前に確認してますよね?

時々、黙ってレコーダーを回し始める人がいますが完璧なマナー違反。論外です。

僕は「取材をされる側」として、レコーダーを回されたことが何回かありますが正直、ちょっと嫌な気分がするものです。

「つい余計なことをしゃべったら証拠が残ってしまう」と思うからです。

録音した方は、別にネットで音声を拡散するつもりなどないでしょう。

ですが、録音されるという行為は、やっぱり基本的にいい気分はしないものなんですね。

そして、つい身構えてしまい、踏み込んだ話を避けてしまう人もいます。

僕が新聞記者のころ、レコーダーを使って男性に取材をしたことがありました。

男性は「優等生的」な話を繰り返し「これじゃいい記事にならないな」と困りましたが、取材が終わりレコーダーを止めた途端に「録音されてると、なんかいやだったんだよね」と、急に面白い話をペラペラ話し始めたことがありました。

レコーダーを使ってしまったことが原因で、取材相手が本音を話さなくなってしまうのは非常にバカバカしいですよね。

録音されても、まったく平気な人もいます。ですが、そうではない人がいることも忘れないでおきたいです。

・取材時に集中力が減ってしまう

取材する側も、やっぱり人間です。

実は僕もよくあるんですが、「録音している」という安心感が、取材に対する集中力を弱めてしまうことがあります。

「後でレコーダーを聞けば、今話していることも確認できる」と思うと、思いのほか相手の話していることが耳に入らなくなります。

そもそも人って、意外と集中力が続かないものです。

僕の場合、感覚的には、一時間ぐらい取材をしたとして三分の一くらいは聞き流していることが多いです。

プロ野球で先発型の投手が、ここぞという場面でビシッといい球を投げるのと同じでしょうか。

手を抜いているのではなくて、メリハリをつけている、という感じ。

メリハリは必要なのですが、レコーダーがあると安心感が増してしまい「あー、いま大事な話を聞いているけれど、まー後でレコーダーを聞けばいいか…」とぼんやりしてしまうことが実際にあります。

こんな理由もあって僕は普段、レコーダーを使いません。

レコーダーを使わないと、緊張の度合いがまったく違います。「今しか聞けない」と思うと、恐ろしく集中できます。

本格的なインタビュー・取材ライターを目指している方は、レコーダーなし取材をお勧めします。

・テープ起こしって意外と大変!

録音した音声を、紙に起こすときもありますよね。

いまは音声をある程度、自動で文字に起こしてくれるソフトもありますが、それでもかなり手を入れる必要があります。

それに全体を「音声」で聞かないと、その時の雰囲気とか相手の声の調子が分からないですから結局、聞いてしまうことが多いです。

ですが、この作業が結構、大変なんですよね。

例えば1時間の音源をすべて文字に起こすとなると、僕の場合2時間以上はかかってしまいます。

結構、くたくたです。面倒くさい、というのが本音。

一部分を聞き返すのであればいいでしょうが、全体的に文字に起こす作業は相当な手間。

個人的に、やりたくない作業です。

プロであれば音声録音は本当に必要な時だけがおススメ

メリット、デメリットを紹介しましたが、少し触れたようにプロのライターであれば基本的にレコーダーは使わないことをおすすめします。

個人的には、レコーダーを使ったせいで、いい話が聞けなくなる可能性がわずかでも増えることが容認できません。

「だれよりもいい話を聞きだすこと」が、ライターとしての理想ですよね?

誰も聞き出していない、おもしろい話を取材相手から引っ張り出したいですよね?

「レコーダー使ったぐらいで突っ込んだ話をしなくなる人なんて、そんなにいないでしょ?」というのは、あなたの理屈。

もちろん使った方がいい場面があることも確か。間違いなく便利な装置ではあります。

場面に応じて、うまく使い分けてみてはどうでしょうか。

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