個人投資家にはインデックス投資がおすすめ ―「敗者のゲーム」―

世界的に有名な投資指南書。個人投資家に向けて「インデックス・ファンド」の優位性を強調しているのが特徴です。

1985年に初版が発売された後、全米では100万部を突破。2018年2月時点で第6版まであります。いかに長い間愛されてきたかが分かりますよね。

著者は「資産運用の標準的な理論を作り上げた」と称される米国の投資コンサルタント、チャールズ・エリス。運用業界に大きな影響力を持ってます。

インデックスファンド運用大手「バンガード」で役員をしていたこともあります。バンガードは、個人投資家の方であればお馴染みでしょう。

自分が置かれている状況によって、読むたびに発見がある。そんな本です。

「資産運用は『敗者のゲーム』となった」

「敗者のゲーム」。

まず気になるのが、このタイトル。

エリスは本の中で「資産運用は『敗者のゲーム』となってしまった」と指摘しています。

では「敗者のゲーム」とは、いったい何のことでしょうか?

エリスは、科学者のサイモン・レイモーの著書「負けないテニス」の内容を引用しています。

資産運用の本なのにテニス?

取引所の取引は、ほぼすべてを機関投資家が手掛ける

テニスは、プレーヤーがプロであってもアマチュアであっても同じ条件で行われます。

道具やルール、得点の計算方法も同じですよね。

サイモンは、プロとアマの違いとして、プロはその高い技術で点を「勝ち取る」のに対し、アマはミスを重ねることによって点を「失う」ことにある、と指摘しています。

エリスはこのテニスの話を元に、個人投資家にとっての株式投資は、勝つために攻めることが必要な「勝者のゲーム」ではなく、ミスをすることで敗者が決まる「敗者のゲーム」であると主張しています。

ここで、舞台をテニスコートから株式市場に変えます。

株式の取引は、プロである機関投資家もアマの個人投資家も同じ土俵で戦っています。テニス同様、プロもアマもルールは同じ。

エリスによると、取引所の取引のほとんどは機関投資家が行っています。ニューヨーク証券取引所の売買高の95%以上は「機関投資家」によるものだそうです。

そうです。実は、個人投資家が相手にしているのは、圧倒的な技術や情報、知識、経験を兼ね備えたプロの機関投資家という連中です。

ここで質問です。

個人投資家であるあなたは、プロ中のプロでとんでもない額のお金を動かしている機関投資家に勝てる自信がありますか?

100回勝負したら、何回かまぐれで点を取れるかもしれません。ですが、勝ち越せる自信はありますか?

無理ですよね。

機関投資家は、ポイントを稼ぐために攻撃的な戦い、つまり「勝者のゲーム」を展開します。

これは、力があるからできること。アマのあなたが「勝者のゲーム」に参入しても「養分」になるだけです。

アマチュアであるあなたの戦いは、攻撃的に勝ち点を取りに行く「勝者のゲーム」ではなく、ミスをしたものが負ける「敗者のゲーム」。

そこでエリスは、ミスをしない戦いを個人投資家に求めます。

ミスをしない戦いとしてエリスが提唱するのが、インデクス・ファンドへの投資です。

「投資ドリームチームの総意を結集」=「インデックス・ファンド」

インデックス・ファンドとは、その市場の平均値に近い動きを目指して行われる運用手法です。

市場を事実上、動かしているのは機関投資家であることは先ほど延べた通りですが、これを踏まえエリスは次のように話しています。

インデックス・ファンドを買うことは、投資の「ドリーム・チーム」の総意を結集したのと同じ意味を持つ。

市場で株を売ったり買ったりした平均が市場の平均値。

ということは、取り扱う額にもよりますが、平均値以下しか成果を出せなかった機関投資家も半分ほどいるということです。

平均より上を目指すことが、いかに難しいか分かりますよね。プロだってなかなかその水準で運用できないんですから。

一般に、インデックス・ファンドは守りの投資で大もうけを狙える手法ではないので、投資家や運用機関に人気がありません。

確かにエキサイティングな場面などないでしょう。投資手法としては「おもしろくもなんともない」と認めています。

ですが、利益を出したいのであれば、やはりアマチュアであるという現実を受け入れインデックス・ファンドを検討することは大事でしょう。

投資の神様として知られるウォーレン・バフェットもこう言っています。

(個人・機関投資家を問わず)ほとんどの投資家にとって、株を保有する最善の方法は、手数料の低いインデックス・ファンドに投資することである。手数料やコストを差し引いた後でも、ほとんどの運用機関を上回る成果をあげることができるだろう。

「投資がエキサイティングになってきたら、何かが変だと思え」 記憶にとどめておくべき名言多数

インデックス・ファンドの優秀さを説く以外にも、この本には投資い関する名言がふんだんに盛り込まれています。

ファンド選択にあたって、個人投資家が過去のパフォーマンスで決めていることはよく知られた悪弊だ。何しろ将来の成績は十中八九、過去の成績とは関係ない

過去の実績は必ずしも未来の成果を約束するものではない、ということでしょうか。

投資がエキサイティングになってきたら、何かが変だと思う必要がある。ほとんどの投資家にとって、面白そうに見えるもは無視するほうがよい。

2018年初頭、仮想通過市場が暴落した際、とんでもなく痛い目にあった人も多いと思いますが、つまりこういうことですよね……。

行動経済学をベースに、人が常に合理的な行動をするわけではない例としては、次のような例を挙げています。

◆勝ちが続くと、それがずっと続くと思いこむ
◆現実を冷静に見つめるのではなく、自分の当初の判断にこだわり、それを正当化する材料ばかり探す
◆半ば思いつきで選んだデータを、将来的な判断のためのベンチマークとして使ってしまう
◆よく知っていることを理解しているのだと過信する
◆自分は他の投資家よりも多くを知っているという錯覚に陥る

どれもこれも、耳が痛い!

株価は、過去・現在・未来・将来に関するその企業のあらゆる情報を「織り込んで」いる

実質、プロの機関投資家が株価を動かしているので、あたり前なのですが「この情報を知っているのは、自分ぐらいだ!」などと勘違いしてしまうことは、意外と多いのではないでしょうか。

あなたが耳寄り情報だと思うことは、すでに専門化には知れ渡っていて価格に織り込まれ済、と考えるのが妥当です。

一般の投資家は、下げ相場では慎重になりすぎ、反対に上げ相場では強気になりすぎる傾向がある。

あるあるですね。分かってはいるけれど、という人も多いのでは。

人はそんなに理性的ではありません。

アクティブファンドという選択肢もありますが

インデックスファンドに対して、市場平均を上回る成果を目指すのがアクティブファンドです。

実績のあるファンドもありますが、継続的に市場平均を上回る成績を残しているものは、まれです。

ほとんどのアクティブファンドがせいぜい市場平均か、それを下回る成績しか残してないとエリスは指摘しています。

この本の終章で、エリスはこう言っています。

市販されている投資関係の書籍のほとんどは、個人投資家がプロの投資化に勝てるという、とんでもない幻想を売っている。これは不可能な話である。

近年、個人型確定拠出年金「愛称:iDeCo(イデコ)」の対象が拡大されたり、積み立てNISAの取り扱いが始まるなど、インデックスファンドが活用できる環境も整備されてきました。

「おもしろくもなんともない」インデクスファンドですが、とりわけ初心者や堅実な投資家は、まずインデックス・ファンドから始めるのがいいのではないでしょうか。

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