プレスリリース必勝法⑤ 「マスコミが嫌うコンテンツ&キーワード」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

ライター事務所「つむぎや」のアキラ(@510tsumugiya)です。

このシリーズでは、新聞記者として働いていた経験をもとに、ふだん公になることのない報道機関と広報マンの裏話をはじめ、記者が記事を「書きたくなる」ための実践的な「裏技」やノウハウ、プレスリリースの基本的な書き方などを紹介しています。

いよいよ今回が最終回。

このシリーズでは、どこのサイトにも載っているような「お決まりの話」ではなく、僕自身の経験を元にキレイごとなしの本音を交え書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

今回のテーマは「こんなプレスリリースはダメ メディアが嫌うコンテンツ&キーワード」

こんなプレスリリースは嫌われる NGコンテンツ&キーワード

1、「記事風」に書かれたもの
2、「手紙風」に書かれたもの
3、「お殿様風」文体
4、「書き込みすぎ」または「情報量が少なすぎ」
5、複数の話題を一緒に紹介
6、表記がバラバラ
7、はっきりしていないことを断定調に書く

プレスリリースを書く際、こんな風に書いてはいけませんよ、というNG集です。

そんなプレスリリース作る人もいるんだ! と、ちょっぴり面白いかも知れませんが、身に覚えのある方もいるかもしれません……。

報道機関は、たとえプレスリリースにおかしな部分があったとしても、記事も書かないのにわざわざ「ここがおかしいですよ」とは教えてくれないものです。

間違いや誤解は、誰かが指摘してくれないと分からないもの。

誤りを続ける「負の連鎖」を断ち切るためにも、ぜひ参考にしてください。

「記事風」に書かれたもの

新聞記事を真似して書いた「新聞記事風」プレスリリースです。

「山川株式会社(東京都千代田区、山川海社長)は10日、創業以来50年の間に培った類まれな技術力で……」といった感じ。

記者が取材して記事を書くという労力を少しでも省こうという気遣いなのか、一字一句変えないで載せてほしいというアピールなのか分かりませんが「このまま紙面に使っていただいても結構です」と真顔で言われたこともあります。

ですが、無理です。

新聞記事には新聞記事固有の細かい書き方やルールがあり、そのまま使えることはありません。

逆に「新聞記事風」なプレスリリースは、通常のものより、逆に修正に手間がかかってしまうことが多いです。

自分で自分に関する文章を作ると、どうしても客観的に書けないんですよね。

よくあるのが「自画自賛型」。

技術力にしろ何にしろ、物事をどう評価して、それをどんな表現で記事にして世に訴えるかは、客観的な第三者である報道機関に任せることが大切です。

客観性の重要さは、第四回で説明した通りです。

本当にいい商品やサービスであれば、記者もきちんとその良さを評価する記事を書いてくれるはずです。

わざわざ自分で自分をほめる必要はありません。

「手紙風」に書かれたもの

文字通り、手紙風に書かれたものです。

「納涼の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます」といった季節のあいさつから始まり、「引き続き、ご指導・ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。」などの結語で締めくくられていたりします。

笑い事ではないですよ!

僕も何度か見かけたことがありました。さすがに上場企業ではありませんでしたが……。

僕が見た例ではさすがに「拝啓」こそありませんでしたが「この手紙風のどこがおかしいの?」と思われた方は、プレスリリースの基本的な書き方から学び始めたほうがいいと思います。

ネットで調べてもいいですし、最寄りの商工会議所や商工会に行けば、少なくとも基本的なひな形ぐらいは教えてもらえるのではないでしょうか。

季節のあいさつや結語も、「絶対に書いてはいけないルール」がある訳ではありません。

ですが、プレスリリースは、できるだけ贅肉をそぎ落としエッセンスだけ書くのが基本です。

私信で儀礼的につかわれるような文言は、使わなくても決して失礼にはあたりません。

新商品の特徴など、もっとほかに盛り込むべきことがあると思うので、そちらにスペースを使った方がいいです。

「お殿様風」文体

「上から目線風」とでも言い換えることができるでしょうか。

「~なのである」「~というのはご存知であろうか」「自信を持って、お届けするものである」といった文章です。

うまく説明できませんが、なんとなくイメージわきますか?

感覚的なものかもしれませんが、何か読んでいて腹立たしいんですよね。

僕の器が小さいのか、とも思いますが、そうでもないでしょう。

プレスリリースの文体に絶対はありませんが、やはり「です、ます調」が一般的でしっくりきます

このあたりになると、プレスリリースの書き方というよりは、もっと常識的な、一般的な文章の書き方の部類に入るのかな、と思います。

日ごろからよく文章を読む機会がある人が作れば、このようなプレスリリースにはならないと思いますが……。

何の抵抗もなく「お殿様風」の文体で文章を書いてしまう人は、そもそも言葉を扱う部署や担当には向いていないと思います。

「書き込みすぎ」または「情報量が少なすぎ」

プレスリリースはA4一枚(片面)に収めることをおすすめします。

適度なサイズのフォントで、必要な情報をまとめるのにはA4がちょうどいいですし、世の中の書類もこのA4がベース。保管にも便利です。

A4一枚に収まってはいるのですが、書き込みたいことが多すぎて、ほとんど余白もなくびっしりと文字で埋まっているものも見かけます。

ここで強調したいのは、すべてをプレスリリースに書きこむ必要はないということです。

これは非常に大事なポイントです。

記者は、プレスリリースを元に原稿を書く際、仮に必要な要素がすべてプレスリリースに書いてあったとしても、必ずといっていいほど書いてある内容の確認も含めて取材をします。

これはミスを防ぐためです。

プレスリリースにも結構、間違いがあったりするんですね。変換ミスとか、数字が一桁間違っていたりとか。

ささいな部分でも、記事になった後に間違いが見つかると「それは記事を書いた記者の確認不足だ!」と糾弾されるわけです。

特に、絶対に間違えてはいけない人名などの固有名詞や、商品の価格といった大切な情報は何が何でも間違うわけにはいきません。

下手をすると訂正記事を紙面に載せる羽目になりますが、訂正はマスコミが最も嫌がるものです。

なので、記者は必ず確認作業を含めきちんと取材して「えーと、価格は一個540円と書いてありますが、よろしいですかねー?」などと念押ししながら取材を進めていくのが普通です。

いずれにしても、記者は確認作業を含めきちんと取材しないといけないので、不足している情報はその時に聞きます。なので、すべて細かくプレスリリースに書きこむ必要はありません。

専門的な説明や図画の掲載が避けられないなど、どうしても分量が減らせない場合は、資料として2枚目にまとめるのがいいでしょう。

一方、あまりに情報量が少なくスカスカのプレスリリースも困ります。

取材しようにも、とっかかりとなる情報が少なすぎて手間がかかることが多いです。

十分な説明もなしに、プレスリリースの中に「詳しい情報に関しては、弊社ホームページをご覧ください」といった、ずさんなものもあります。これは絶対禁止!

プレスリリースは書き込みすぎず、情報が少なすぎず。

可能であれば、できるだけ少ない文字数で、ポイントを押さえつつすっきりとまとまっているものが好まれます。

複数の話題を一緒に紹介

例えばAとBという商品を一枚のプレスリリースで一緒に紹介しているような、複数の話題を一枚に押し込んであるものがあります。

たまたま発売日が同じだったからなのか、さほどアピールするものがない出来の悪いもの同士を組み合わせて「合わせ技一本」を狙いに来たのか分りませんが、プレスリリースがごちゃごちゃして分りにくいですし、スペース上、それぞれの情報が少なすぎるケースも多いです。

「新商品」+「新商品発売に際して実施した市場調査」を組み合わせるパターンも時々見かけましたが結局、商品をアピールしたいのか調査結果を訴えたいのか「どちら押し」なのかよく分からないものもありました。

おそらく新商品がメーンだと思いますが、比重をきちんと考える必要があります。

プレスリリース一枚に紹介するものは一つ。

同じ日に複数枚発表しても、クレームは来ません。面倒くさがらず内容ごとに別々に分けて作ってください

表記がバラバラ

僕が住んでいる五島列島の特産品に、ツバキ油とトビウオがあります。

このツバキ油、いま「ツバキ油」と表記しましたが「椿油」「つばき油」とも書けます。「つばきあぶら」「ツバキアブラ」もありますね。

トビウオも、「とびうお」「飛び魚」「飛魚」さらには九州の呼び名で「あご」「アゴ」(「あごだし」のあご、ですね)とも表記されます。

メディアによっては、例えば学術的な名称の場合はカタカナ表記などのルールがありますが、プレスリリースの場合は、ある程度自由に表記して構わないと思います。

ですが、表記はこれと決めたもので統一してください。

例えば、

一枚のプレスリリース内で、「ツバキ油」「椿油」「つばき油」と表記にゆらぎがあると非常に幼稚な印象を与えますし、同じツバキ油なのに「もしかしたら微妙に違うものを指しているのではないか」と読み手を惑わせる恐れもあります。

うっかり変換ミスをすることもあるでしょう。ケアレスミスを防ぐためにも、プレスリリース作成後は、必ず念押しの最終チェックをするのを習慣にしてください。

最後に、一度読み直すだけでいいです。この手間を省いたせいで、とんでもない恥をかくこともありますよ!

はっきりしていないことを断定調に書く

確認できないことや、はっきりと決まっていないことは、そう書いてください。

実はあやふやなのに断定調で書いてあることがあり、間違いの元です。

プレスリリースには「~する」と断定するような記載があったのに、取材の際に改めて確認してみると「そうなる予定です」「だったはずですが……」というあいまいな返答が返ってくることがあります。

これは、実はとても頻繁にあったことなんですが、非常に危険です。

基本的に記事はあいまいなことを決定しているかのようには書けない、という大前提があります。

「~する」と「~するつもり」では、天と地ほどの差があります。極端な話、後者ではニュース価値がゼロになる可能性だってあります。

決まっているのかいないのか、分るのか分からないのか、そのあたりは、はっきりと書くことが大切です。忘れないようにしましょう!

 

さて、五回にわたって連載した「プレスリリースをメディアに取り上げてもらおう 元新聞記者が解説 広報担当なら知っておきたい裏技&ノウハウ」シリーズも、ついにこれで終了となってしまいました。

全五回を読んでいただいた方もいらっしゃると思います。長いシリーズにもかかわらず、ありがとうございました。

みなさんの作った一枚のプレスリリースが、広告費に換算して数千万円分の働きをすることだってありえます。

所属する会社や団体の運命を大きく変えることさえあります。

たかが紙切れ一枚と思わずに、是非すばらしいプレスリリースで飛躍のチャンスをつかんでいただきたいと思います。

 

「つむぎや」では、プレスリリースに関するセミナーや講演会、勉強会などもご依頼に応じて行っています。

もう一段上の実践的な広報活動を目指したい方は、ホームページトップの問い合わせフォームからご連絡ください。

 


併せて読みたい プレスリリース必勝法シリーズ(5回シリーズ)

プレスリリース必勝法① 「ニュースはありますか?」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

プレスリリース必勝法② 「記者が嫌うもの」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

プレスリリース必勝法③ 「誰に向けて書いている?」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

プレスリリース必勝法④ 「マスコミが好むコンテンツ&キーワード」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

プレスリリース必勝法⑤ 「マスコミが嫌うコンテンツ&キーワード」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ” に対して 2 件のコメントがあります

  1. yuki より:

    起業したばかりのものです。
    起業セミナーなどへ参加し、プレスリリースのことを知りました。
    今思えば一般的な書き方でした。
    こんなに詳しく、内情も知ることができて、ちょっと感激しています。
    とっても勉強になりました。参考にさせていただきます!
    これからもブログを楽しみにしています!

    1. 管理人 より:

      yukiさん

      管理人のアキラです。
      ブログを読んでいただき、ありがとうございます!

      ネットでは、プレスリリースをメディアに取り上げさせる方法といえば、
      型通りの話しか載っていないので、もっと深くて現実的な話を話をだれか
      書いた方がいいのではと思い、少しマニアックな話ですが書いてみました。
      お役に立てたようで良かったです!

      yukiさん、起業されたばかりとのこと。
      僕も今春、正式に起業するので「同期」ですね。
      プレスリリースのことでも他のことでも、何かお役に立てることがあれば気軽に
      ご連絡ください。
      一緒に頑張りましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です