プレスリリース必勝法④ 「マスコミが好むコンテンツ&キーワード」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

ライター事務所「ツムギヤ」のアキラ(@510tsumugiya)です。

このシリーズでは、新聞記者として働いていた経験をもとに、ふだん公になることのない報道機関と広報マンの裏話をはじめ、記者が記事を「書きたくなる」ための実践的な「裏技」やノウハウ、プレスリリースの基本的な書き方などを紹介しています。

さて、第四回となる今回のテーマは「プレスリリースに盛り込みたい メディアが喜ぶコンテンツ&キーワード」。

プレスリリースに盛り込みたい メディアが喜ぶコンテンツ&キーワード

1、「ナニナニで初」、「ナニナニ一(いち)」
2、客観的なデータや数字
3、社会性がある内容
4、「日持ち」がする原稿
(番外編)余白があるとうれしい

さて、いよいよプレスリリースの具体的な「書き方」に入りたいと思います。

このシリーズの第一回でも強調しましたが、プレスリリースは「書き方」などよりも、その内容の方がはるかに重要です。

お魚の刺身と同じですよね。素材がすべて!

この前提を踏まえた上で、書き方を解説していきます。

その前に一つ確認。

今回の本題である「コンテンツとキーワード」を紹介する前に、プレスリリースの基本的な構成と書き方をおさらいしておきます。

ほかのサイトでも紹介されているようなことで「その程度は知っている」という方も多いと思うので、軽く流す程度にしたいと思います。

プレスリリースの内容は「逆三角形」で

「逆三角形」の文章。よく使われる表現ですが、ちょっと分かりにくいですよね。

逆三角形とは、つまり結論から先に書き始めるということです。

余談ですが、結論、つまり重要なことから書く文章のことを、なぜ「逆三角形」型と呼ぶんでしょうか……。

皆がそう言うので、僕もそう言い続けてきましたが、語源までは分かりませんでした。すいません!

 

プレスリリースは通常、以下のような構成で書きます。

「見出し」=タイトルで内容をズバリ

「前文(リード)」=言いたいことを短い文章ですっきりと説明

「本文」=詳しい内容、写真

ポイントは、やはり重要なことから先に書いていくことです。

なぜかといえば、記者はプレスリリースを記事にするかどうか判断する際、きちんと最後まで読まないことがほとんどだからです。

記者は、多い人で一日に二十~三十枚はプレスリリースに目を通すことがあります。

「このリリースは記事に値する内容なのか」と厳しい目で品定めしてますが、すべてのリリースをじっくり最後まで読むほど気が長くありません。

僕の経験では、だいたい見出し、前文に目を通して必要、必要でないを判断していました。

見出しだけを見て「これは不要」と判断してしまうものも少なくありません。

これは僕に限った事ではなく、ほとんどの記者が同じようなスタイルだと思います。

「見出し」を見て「おやっ」と思ったら、「前文(リード)」に読み進む。そこで感触が良かったり、面白そうだけれどイマイチ判断しかねる、といった時にようやく「本文」まで読み進めます。

となると、仮に一番重要なことがプレスリリースの最後に書いてあると、読まれない可能性があります。

そこさえ読んでもらえれば記事になったのに、そこまで読んでもらえなかったとなると、非常に残念です。逆三角形で書く理由は、ここにあります。

「逆三角形」がプレスリリースの基本。おさらいしました。

 

このほか「文章には『5W1H(だれが、いつ、どこで、何を、どうした)』をきちんと盛り込みましょう」「末尾には問い合わせ先を明記して」「一つひとつの文章は短く、分かりやすく」といった基礎的な内容は、そもそも常識的なこと。

このような内容を詳しく紹介しているサイトはいくらでもあるので、割愛します。

ひとつ忘れていましたが、プレスリリースの左上や上部中央など、目立つところに「プレスリリース」や「PRESS RELEASE」といった言葉を必ず入れてください。

というのは、営業目的の事業者や団体が、プレスリリースまがいのチラシや書類を記者クラブでばらまいたり、FAXで送り付けてきたりするケースがあるからです。

パッと見て、きちんと読まずに捨てられるのを避けるためにも、プレスリリースであることを目立つところに明記しておきましょう。

それでは、今回の本題! メディアが喜ぶコンテンツ&キーワードの解説に入ります。

「ナニナニで初」、「ナニナニ一(いち)」

「~で初」は、いわゆる「初モノ」と呼ばれているものです。

例えば「この技術の開発は世界初」「国内で初めてサービスを開始」といったもの。

記者は初モノに弱いことは、よく知られた話です。

あたり前ですよね。報道機関は、世間一般にあまり知られていないこと、つまり「ニュース」を取り上げるのが本来の仕事だからです。

二番目や三番目は話題になりませんが、一番目は知りたいですよね。

人類で初めて月面に降り立ったのがアームストロングさん、ということは結構知られていますが、では二番目に降り立ったのが誰だったか知っていますか?

知っている人は、ほとんどいないと思います。それだけ「初」というのはニュースバリューがあるわけです。

次に「ナニナニ一(いち)」は、ある分野で一番であるということです。

「この分野におけるシェアは世界一」「日本一高品質」などの例があります。

これも「~初」と同じで、何かの分野で一位であるということは、それだけで非常に大きなニュースとなります。

一位じゃないとだめなんですか? との問いには、だめなんです、と言っておきましょう。

「~で初」、「~一」とも、ニュースの際には非常に破壊力があるキーワードで、必ず記事の見出しにも取られるような要素となります。

ですが、扱いには慎重さが必要です。

信用されないと意味がない

仮に、トヨタ自動車やグーグルが「今回、世界で初めてこの技術を開発した」と言えば、ああそうか、と思えますが、例えば小さな町工場が同じことを言ってもなかなか信じてもらえないのが現実です。

下手をすると、かえってうさんくさい印象を与えかねません。

実際、きちんと世界中の情報を確認したわけではないのに(事実上、確認などできませんが)、「この技術は世界初だ」と言い張る中小企業の社長にお会いしたことが何度もあります。

「~で初」、「~一」と主張するのであれば、客観的な証拠を示してもらわないと、記事にはできません。

間違っていると、その報道機関が責任を取ることになりますが、記者だってすべての話で裏を取れるわけではありません。

そこで、一つ非常に便利な言い回しがあります

これは使えるので、みなさん活用してください。

それは「非常に珍しい」「極めれまれ」という表現です。ここは重要なポイントです!

例えば、新聞風に書くと「この製法を採用している事業所は、国内では極めて珍しいという」という感じで使います。

少し周辺取材をして、どうやら国内初っぽいけれど断言するまでの根拠がないような場合に、この表現を使っていました。

使い勝手がいいので、ぜひ活用してみてください。

客観的なデータや数字

データや数字はうそをつきません。

データや数字は、プレスリリースに説得力を持たせるために、もっとも有効な「客観的な情報」です。

あるラーメン屋がオープンしたところヒットしたため、店側が「お店が大人気で繁盛している」というプレスリリースを作ったとします。

リリースには、ラーメンの特徴として「こってり濃厚とんこつ醤油がうまい! 連日、長蛇の列で大人気!」と書かれてありました。

実際食べてみると確かに「うまい」のですが、記者は、その「うまい」理由を、どのような根拠に基づいて読者にそう思わせるか、という部分を書かなければなりません。

「こってり濃厚」といった表現もなんとなく使えそうですが、これはラーメンの特徴を表す言葉で「うまい」理由にはならないですよね。参考にはなりますが。

それに、さっぱりとか、こってり濃厚とかのラーメンなんて、この世に掃いて捨てるほどあります。「こってり濃厚=うまい」という方程式はありません。

なので、例えば「日本では流通していないアフリカの貴重な香辛料が好評の理由」などと産地や原材料をウリにするとか、「長崎の『ちゃんぽんめんの巨匠』のもとで20年修行」とラーメンに携わった有名人を前面に打ち出すとか、「香川県で1000年前から伝わる秘伝の製麺法を採用しモチモチ感」とか、「うまさ」を連想させる具体的な根拠を記事に盛り込まないといけません。

正直、これらの例でも「うまい」根拠にはなっていませんが(そもそも万人に共通する「うまい」根拠などありませんが……)少なくとも読者に興味は持ってはもらえそうです。

昔、記者クラブで配布されたお菓子の新商品のプレスリリースを、メーカーの広報に電話で取材したときのこと。やはり「おいしい」という表現がありましたが納得できる根拠がなかったので、どう「おいしい」のか尋ねました。

すると担当者に「まあ、いっぺん食べてみてくださいよ。そしたら分かりますから」と言われました。

あんたね、お客さんに向かって、とにかくうまいから一度買って食え、って言うの? お客さんは買うための根拠が欲しいのに、食えば分かるからとにかく買えって、記事に書けと言うんですか?

そう心の中で担当者をののしり、プレスリリースはそのままゴミ箱入りとなりました。

客観的な根拠を示すのに非常に有効なのは、数字などの具体的なデータでしょう。

「うまい」を数値化することはなかなか難しいですが、数字が活用できるものに関しては積極的に使っていきたいです。

100の美辞麗句よりひとつの数字を

例えば最近、人気が高まっているテーマパークが、敷地を広げて新しいアトラクションを設置する、というプレスリリースを発表したとします。

では「人気が高まっている」ことは、どうやったら客観的に証明できるでしょうか?

これは簡単ですね。ここ数年間の来場者数を示したグラフを示し、来場者が右肩上がりになっていることを数字で示せばバッチリです。

では、学習塾が塾生を募集する際に「当塾から有名校に多数進学しています」と強調したいとき、どう数字で補強すればいいでしょうか?

これも簡単ですね。例えば塾生の進路実績を紹介すればOKです。

「塾生100人の進路 東大50人、京大30人……」などと、例えば難関校に合格した塾生の数を具体的に示せば説得力が増します。実績があればの話ですが……。

うそくさい美辞麗句をたくさん並べるより、数字ひとつ提示する方がよほど説得力があることを忘れないでください。

こういった参考になるデータをちゃんと持っているのに、その貴重な数字をプレスリリース作りに活用していないものもあります。

プレスリリースはA4サイズ1枚にまとめるのが基本。ですが、2枚目にこういったデータを参照として添付するのも有効でしょう。

また、受賞歴などがあれば、それも非常に有効な客観的情報となります。賞は通常、第三者が授けるものですからね。

あまりにもマイナーなものや小規模な賞だと価値が分からないので使いにくいですが、それでも参考にはなるので積極的に盛り込みましょう。

社会性がある内容

突然ですが「クラウドファンディング」って、ご存知でしょうか?

起業家やクリエーターなどの個人や組織が、あるプロジェクトを進めるため必要な資金をインターネットを通じて集めるシステムのことです。

支援してくれた人に対するリターン(返礼)によっていくつかの種類に分類できるのですが、リターンのない「寄付型」や金銭以外の物品や権利を与える「購入型」といわれるものの中には、あっという間に数百万単位の資金を調達してしまうプロジェクトもあります。

その多くは「社会性」のあるプロジェクトです。

「社会性」というのは少し幅が広い表現ですが、この場合は個人の利益を追求するものではなく、社会に何らかの形で貢献するもの、といった意味です。

クラウドファンディングのプロジェクトを見ていると、例えば最終的には個人の利益追求を目的としているようなものは苦戦していることが多いです。

ですが、例えば「子供のために学校を作りたい」とか「被災者を支援するプロジェクトを立ち上げたい」など「社会性」の強いものは、数日で1千万円以上を集めたりします。

プレスリリースもこれと同じです。「社会性」のある話題は、みんなも大好きですし、マスコミも非常に積極的に取り上げます。

例えば、自動車メーカーが新たな車を開発したとしましょう。燃費がいいのはもちろん、排気ガスが少ないので二酸化炭素排出量削減に貢献できる、といった話は分かりやすいですね。

どんなに性能がいいものを作っても、環境汚染物質をばらまくことを顧みないような商品は、もはや受け入れられない時代になっています。

もし商品、サービスを開発した背景に、社会的な要素があればプレスリリースに積極的に盛り込んでください。

それだけで、記事化される確立がぐっと増します。くどくど説明すると逆にいやらしいので、さらっと手短に。それでも必ず記者の目に留まり、記事に盛り込んでくれるでしょう。

もっとも、近年は「社会性」を意識した理念が商品開発の出発点になっているのではないでしょうか?

「日持ち」する、時間がたっても内容が古くならない原稿

時間がたっても内容が「腐らない」内容のプレスリリースは、記者に好まれます。

それは、記事が足りない日に、あらかじめ「いつでも使えるような記事」のストックがあれば、非常に助かるからです。

報道機関が実務レベルで一番困るのは、原稿が足りない日です。

僕も新聞社でデスク業務をしていたことがありますが、本当に気をもみました。

紙面がガラガラなのに、記事が2本しか出る予定がない。最低でも、あと4、5本は必要だ。さあ困ったぞ、ストックしてある原稿はないのか――といった感じ。

真っ白なページがある新聞や、「今日はいいニュースがないので、6時からのニュース番組は中止にします」とアナウンサーが話す場面は見たことがないですよね。

つまり、新聞紙面にしろ、テレビのニュース枠にしろ、必ず「埋める作業」をしないといけない、ということです。

では、例えばどんな話題が「日持ちする」のでしょうか?

わかりやすいのが、アンケート調査などの結果です。

シンクタンクは、意識調査などと称してさまざまな調査を実施して、独自の分析を踏まえプレスリリースを発表していますし、メーカーなどでも、マーケティングの一環として調査した内容を、商品と絡めて公表したりしています。

例えば、緑茶をたくさん飲む人は胃ガンの発生率が低い、という調査結果を緑茶メーカーが公表する、といったものです。

こういった調査は、発表があってから時間がたっても、内容的に「この時期に必ず報道しないといけない」という縛りがないので、いったん取材して原稿さえ作っておけば、あとはいつでも使えることになります。

まさに「作り置きができるお惣菜」のようなイメージですね。

タッパをパッと開けて食卓に並べればすぐ食べられるように、フォルダをクリックすれば、すぐ原稿が取り出せる、といった感じです。

(番外編)余白があるとうれしい

まったくどうでもいい話ですが、プレスリリースはびっしりと字が詰まっているのではなく、余白が適度にあると助かります。

これは、もちろん見やすいからという利点もあるんですが、余白があるとそこに取材したことをメモできるからです。

プレスリリースを元に取材するときは、だいたい手元にプレスリリースだけを用意して話を聞きます。

そして、書いてあること確認しながら足りない部分を聞いたりしますが、いちいち別にノートを開いてそこにメモしている人は、ほとんど見たことがありません。

原稿を書く時も、リリースとノートを両方見ながら書くのは、少し面倒です。

なので、文字でびっしり埋まったプレスリリースを見ると、ちょっと嫌な感じだなあ、と思ってしまいます。そもそも文字が多いプレスリリースは、分かりにくいことが多い。

今回の趣旨とは関係のない話ですいませんでした……。

 

第四回は以上です! 参考になったでしょうか?

「つむぎや」では、プレスリリースに関するセミナーや講演会、勉強会などもご依頼に応じて行っています。

もう一段上の実践的な広報活動を目指したい方は、ホームページトップの問い合わせフォームからご連絡ください。

次回のテーマは「こんなプレスリリースはダメ! 記者が嫌うコンテンツ&キーワード」です。

プレスリリースの具体的な書き方の続きですが、読み物としても楽しんでいただけると思います!

 


併せて読みたい プレスリリース必勝法シリーズ(5回シリーズ)

プレスリリース必勝法① 「ニュースはありますか?」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

プレスリリース必勝法② 「記者が嫌うもの」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

プレスリリース必勝法③ 「誰に向けて書いている?」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

プレスリリース必勝法⑤ 「マスコミが嫌うコンテンツ&キーワード」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

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