プレスリリース必勝法③ 「誰に向けて書いている?」 元新聞記者が解説 広報必読の裏技&ノウハウ

ライター事務所「ツムギヤ」のアキラ(@510tsumugiya)です。

このシリーズでは、新聞記者として働いていた経験をもとに、ふだん公になることのない報道機関と広報マンの裏話をはじめ、記者が記事を「書きたくなる」ための実践的な「裏技」やノウハウ、プレスリリースの基本的な書き方などを紹介しています。

さて、第三回となる今回のテーマは「そのプレスリリース、誰に向けて書いてますか?」。

そのプレスリリース、誰に向けて書いてますか?

1、プレスリリースと広告は、まったくの別物
2、デザイン性は不要
3、専門用語をそのまま使うのは不親切
4、あなたの常識は報道機関の常識ではない

そもそも、プレスリリースはだれに向けて発信するものでしょうか?

言うまでもなく報道機関ですよね。

「プレス(報道機関)」リリースと呼ばれるくらいです。大企業や自治体などの中には、プレスリリースを報道機関に発表した後、同じ内容のものをホームページで公表しているところもありますが元来、一般消費者向けに作られるものではありません。

今回は、このことを念頭に置いて読み進めていただきたいと思います。

プレスリリースと広告は、まったくの別物

プレスリリースを作る際、内容がごちゃまぜになって考えられがちなのが広告です。

プレスリリースと広告は、まったくの別物。

プレスリリースが報道機関向けなのに対し、広告は一般消費者向けです。ここに決定的な違いがあります。

では、内容はどう違うのでしょうか?

例えば、ある食品メーカーが新しいカップラーメンを発売したとします。

このメーカーが作った広告では「信じられないうまさ!」と、分かりやすくて派手な言葉が躍りました。広告は何をどう表現しようが自由です。「信じられないうまさ!」でも構わないでしょう。

ですが、このカップラーメンを紹介するプレスリリースを作る場合、例えば【商品の特徴】を書く欄に「信じられないうまさです」などと書かれても困ります。

書くのは自由ですが、記事では、このような表現は絶対に使えません。

うまい、まずい、というのはとても主観的な感想です。

そもそも発売元が自ら「うまい」と言って、誰が信じますか?

「ふーん、そりゃあ自分のところで作った商品だもんね。味はそこそこ、なんて自ら言えるわけもないし、うまいとしか言えないよな」と説得力は0%でしょう。

購買意欲をあおる表現は不要

プレスリリースは、一般消費者に購入を働きかけるためにつくるものではありません。あくまでも報道機関に記事を書いてもらうためにつくるものです。

「信じられないうまさ!」「とにかく安い!」「いますぐお電話を!」といった購買意欲をあおるような、ことさら大げさな表現は不要です。

そもそも記者は、新聞なり雑誌なり所属するメディアの名の下で記事を書いています。

例えば、ある新聞社の記事で「A社が発売したこのカップラーメンは非常においしく仕上がっており……」などと書けば、新聞社がその味に「お墨付き」を与えたことになってしまいます。

味覚という主観的なものに関して、そんな断定的な表現を使えるわけがありません。

ただし署名入りで書く解説やコラムのような記事は、社ではなく個人の責任、個人の見解として書くものなので、それはまた別の話です。

デザインに凝っても意味がない

一般消費者向けの広告は、迫力のある写真とか、人を魅了するデザインとか、あの手この手で消費者を引き付けようとします。

広告は商品やサービスの売り上げ、さらに広告主のイメージを大きく左右する重要な要素でしょう。

ですが、プレスリリースにそのような「装飾」は一切不要です。

むしろ邪魔になることさえあるといってもいいでしょう。

最低限度の見やすさはもちろん必要ですが、デザインを凝ってもまったく意味がありません。

これは、プレスリリースは広告とは別物、という前項とも関連する部分ですね。

まれに、広告のチラシをそのままコピーして報道機関に配り、プレスリリースと称する人がいます。

あらためて言いますが、プレスリリースと広告はまったくの別物です。

装飾とは少し違うかもしれませんが、「!」「?」「!?」といった符号を多用したチラシのようなプレスリリースも、非常に軽い印象を与えがちです。

プレスリリースはチラシでもブログではありません。うさんくさい印象さえ与えかねません。

冷めた目でプレスリリースをチェックしている記者は、装飾には踊らされないでしょう。中身で勝負してください。

最低限、読みやすいレイアウトは必要でしょう。それでも、凝る必要はありません。

見出しは一番最初に持ってくるとか、ギチギチに文字を詰め込まないとか、常識的な範囲で問題はないと思います。

専門用語をそのまま使うのは不親切

よく見かけるのが、専門用語を何の補助説明もなくそのまま使っているプレスリリースです。

独りよがりで、不親切な印象を与えますよね。それぐらい少し考えれば分かると思うんですが、本当に多いです。

その商品やサービスを説明するのに、どうしても専門用語を使わざるを得ない場面があることは確かです。

記者も記事を作る際に、専門用語の使用を避けて通れないことがあります。

誤解しないでいただきたいのは、専門用語を使ってはいけない、と言っているわけではありません。

せめて注釈を入れるとか、分かりやすく言い換えるなどの努力をしてほしい、ということです。

「専門用語の意味ぐらい調べるのが記者じゃないの?」「そんな言葉も知らないで記事を書くつもりだったの?」と言われることが実際、ありました。

確かに物知りな記者もいますが、記者はスーパーマンではありません。むしろ知らないことだらけです。

プレスリリースは、専門家に向けて発信するものではありません。

言い訳がましいですが、記者は分からないことがあるから取材するわけです。

説明責任を放棄しないで

一番困るのが、プレスリリースに出てきた専門用語を、何とか分かりやすい言葉を使って記事にしようと取材でいろいろ尋ねた際、「その言葉は、そうとしか言いようがないんだよ」「俺たちはいつもそう言っているから、分かりやすく説明しろって言われてもさ……」などと説明責任を放棄する人です。

しまいには「その言葉、そのまま書けばみんな分かるって!」などと逆ギレする人さえいました。

世の中の人すべてが同業者だとでも思っているのでしょうか。

広報担当者は、プレスリリースを発表する際に、担当部署が作ったプレスリリースの原案に難解な専門用語がそのまま使われていないかを調べ、あれば注釈を入れるなり、分かりやすく書き直してもらうなりしてもらう努力が不可欠でしょう。

新聞のように「中学生でも分かるような文章で書きましょう」とまでは言いませんが、常識的な言葉や表現でプレスリリースをつくるぐらいの努力は必要です。

あなたの常識は報道機関の常識ではない

僕が移住した長崎県の五島列島には「かんころもち」という郷土料理があります。

サツマイモともち米を混ぜたもので、もともとは保存食でした。

長崎県では有名です。が、島に移住するまで、僕は一度も見聞きしたことがありませんでした。

例えば、長崎県の菓子メーカーが、かんころもちを使った新商品をプレスリリースで発表したとします。

原料の説明部分に「かんころもちを原料の一つに使い……」という記述があり「かんころもち」の説明が一言もなかったとしたらどうでしょうか?

長崎であれば「かんころもちぐらい、みんな知っているさ。いちいち説明する必要なんてない」という声も聞こえてきそうです。

もう一つ別の例を。

プレスリリースに、ある場所の住所を記載する際、都道府県名を省略して、例えばいきなり「朝日町●●」と町村名から書き始めてあるものも時々あります。

自治体名は、同一名称が少なくありません。

ちなみに、この例で挙げた「朝日町」は、富山県、三重県、山形県の三県に存在します。

「富山県に本社があるうちの会社がつくったプレスリリースに出てくる場所なんだから、富山県に決まっているだろ」と言い張る人がいるかもしれません。

常識的に考えて、そうでしょうか?

紙切れ1枚から、発表側の姿勢が透けて見える

かんころもちの例にしろ、朝日町の話にしろ、「こうだから、相手がこう理解するのがあたり前だろう」といった考え方は一方的で独りよがりな印象を与えます。

「3、専門用語をそのまま使うのは不親切」と似ている部分がありますね。

間違いが起こる原因になりかねませんし、ただ作業を手抜いている、という気さえします。

プレスリリースは、業界のことや地域のことなど何も知らない人が見ても分かるくらい丁寧であるべきだと思います。

全国に向けて発信するようなケースであれば、なおさら慎重で丁寧なつくりが必要でしょう。

僕の経験から言えば、たかがプレスリリースですが、その紙切れ1枚にはそれを作った会社や団体の姿勢、心配りがにじみ出ます。

優良と称される企業は、規模の大小にかかわらずプレスリリースの作りが丁寧でした。

その紙切れが、商品やサービスの売れ行きを大きく左右しかねないことを自覚しているからではないでしょうか。

 

第三回は以上です。

身に覚えのある項目はなかったでしょうか? 万が一あった場合は、こっそり修正してくださいね。

「つむぎや」では、プレスリリースに関するセミナーや講演会、勉強会などもご依頼に応じて行っています。

もう一段上の実践的な広報活動を目指したい方は、ホームページトップの問い合わせフォームからご連絡ください。

次回のテーマは「プレスリリースにぜひ盛り込みたい! 記者が喜ぶコンテンツ&キーワード」です。

次からは、プレスリリースの具体的な書き方に突入します。


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