「潜伏キリシタン」と「隠れキリシタン」の違いは? 世界遺産候補「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」

潜伏キリシタン? 隠れキリシタンではないの?

ライター事務所「ツムギヤ」のアキラ(@510tsumugiya)です。

僕が移住し暮らしている五島列島などを舞台とした「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が、2018年夏の世界遺産登録を目指しています。

島外の人と世界遺産登録を話題にすることも多いですが「潜伏キリシタン? 聞いたことないな……。隠れキリシタンの間違いじゃないの?」と首をかしげる人が多いです。

僕も、島に来るまで「潜伏キリシタン」という言葉は聞いたことがありませんでした。

調べてみると「潜伏」と「隠れ」は、まったくの別物。厳密に区別して認識する必要があります。

両者の違いは、江戸時代の禁教令やカトリック弾圧の歴史を知る上で非常に興味深いです。

世界遺産が話題になっていることを機に、まとめてみました。

キリシタンではない「隠れキリシタン」

まず「キリシタン」という言葉の確認から。

日本では、禁教が行われるよりも前にキリスト教(カトリック)に改宗した人のことを「キリシタン」と呼びました。ポルトガル語に由来しています。

これを踏まえ、話を進めます。

「潜伏」と「隠れ」の違いを一言で説明すると……

「潜伏キリシタン」……キリスト教徒(カトリック)

「隠れキリシタン」……カトリックに由来する日本的な独自の民族宗教を信仰している人

と分類することができそうです。

隠れキリシタンは、いわゆるキリシタンではありません。ちなみに、今や隠れてもいません。

ややこしいですよね。このあたりが混乱を招く要因になっていると感じています。

江戸幕府の禁教令がすべての始まり

「潜伏」「隠れ」が誕生した背景には、国内における禁教の歴史があります。

1549年、フランシスコ・ザビエルが種子島に上陸し、日本にキリスト教を伝えたのは有名な話。

その後、次第に信仰が広まって「キリシタン大名」なども誕生しましたが、1614年に江戸幕府が全国に「キリスト教禁教令」を発布します。

キリシタンは信仰を隠したり、やめたりすることを迫られました。

「潜伏キリシタン」の場合

「潜伏キリシタン」は、禁教令が出た後も表面的には仏教徒を装いながら、キリシタンであることを隠し続けた人たちのことです。

キリスト教徒であることは捨てませんでした。

ちなみに、禁教令が出た30年後の1644年、日本における最後の宣教師・小西マンショが殉教してしまいます。

潜伏キリシタンは、指導者が一人もいないなか、禁教が説かれるまでの約230年間、信仰を守り続けました。

江戸時代は、生きるために仏教徒であることを表向きは受け入れざるを得ませんでした。

「隠れキリシタン」の場合

一方の「隠れキリシタン」ですが、仏教徒を装っていた点では「潜伏キリシタン」と一緒なんですが、1873年に禁教の高札が撤廃されキリスト教が黙認されるようになったあとも、カトリック教会に戻ることなく、独自の信仰形態を続けました。

「独自の信仰形態」というのがポイント。「隠れ」の人々は、もともとキリシタンだったのに、こっそりと信仰を続けているうちに日本の昔ながらの民俗信仰などの影響を受け、独自の変化を遂げてしまった、ということが背景にあります。

カトリック教会に戻らなかったのも、カトリックとは異なる独自の宗教になってしまっていたからかもしれません。

長崎市生まれの宗教学者でカクレキリシタン研究で知られる宮崎賢太郎は、著書「カクレキリシタン オラショ―魂の通奏低音」(発行・長崎新聞社)で次のように定義しています。

「カクレキリシタンとは、キリシタン時代にキリスト教に改宗した者の子孫である。一八七三年禁教令が解かれ、信仰の自由が認められた後もカトリックとは一線を画し、潜伏時代より伝承されてきた信仰形態を組織下にあって維持し続けている人々を指す。オラショや儀礼などに多分にキリシタン的要素を留めているが、長年月にわたる指導者不在のもと、日本の民族信仰と深く結びつき、重層信仰、祖先崇拝、現世利益、儀礼主義的傾向を強く示すものである」

※オラショとは、隠れキリシタンが唱えるお祈りの言葉や教義などのこと。「祈り」を意味するラテン語「oratio」が語源。

ちまたでの一般的な使われ方を聞いていると、「潜伏」も「隠れ」もごちゃ混ぜになって、ひっくるめて「隠れ」と呼ばれていることが多そうです。

世界遺産登録の可否は2018年4月~5月

世界遺産候補「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」登録の可否ですが、2018年4月~5月には世界遺産の登録を事前審査するユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)がユネスコに勧告する形で判明します。

【追記】2018年5月4日、イコモスが「登録が適当」とユネスコに勧告。今夏の世界遺産登録が確実となりました!

長崎では登録に向け期待が高まっていますが、五島列島在住フリーライターの僕としては、登録により仕事が増えないかな、と個人的に期待しています……。

僕は島出身でもカトリックでもありませんが、島にいるからこそ知っていること、分かることもあると思います。

それはともかく、世界遺産登録を機に、国内でキリスト教がどのような歴史をたどったのか、信仰を守るため信者がどのように行動して今があるのかを学ぶのもおもしろいと思います。

興味のある方は、ぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか。

世界遺産候補内の教会見学はインフォメーションセンターで事前予約を

なお、世界遺産候補エリア内にはエリアのシンボルとも言える教会も数多くありますが、この教会を見学するには事前連絡が必要です。

以下に、事前予約できるサイトのリンクを張っておくのでご参照ください。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」インフォメーションセンター

 

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