もう一度ペンを握りたい 背中を押した男性の涙 ~ライター起業@五島列島④~

離島に移住 選択肢になかったライター起業

ライター事務所「ツムギヤ」のアキラ(@510tsumugiya)です。

僕は40歳で新聞記者を辞め、長崎県の離島・五島列島に移住しました。

長い間サラリーマンをしていたので、島では独立して何か事業を始めたいと思っていました。

ずっと文章を書く仕事をしていましたが、ライターとして起業するつもりはありませんでした。

文章を書くのは趣味の範囲でいい。

そんなつもりだったんです。

けれども、やっぱり文章を書くことを日々の仕事にしたいな、と思わせる出来事があって考えが変わりました

きっかけは、島の男性が見せた涙でした。

約50年ぶり 島にUターンした男性

島に移住してから、役場に所属しながらまちおこし活動を行う「地域おこし協力隊」として働きました。

日々の活動の中で、島の人に地域の歴史や日々の暮らしなどを聞く取り組みを始めました。

聞いた話はインタビュー形式の文章にして紙に印刷し、各家庭を回覧板で回しました。

島に来て約1年後。60歳を過ぎてから島にUターンしてきた男性に話を聞く機会がありました。

男性は中学を卒業後、ずっと県外で働いていましたが「老後はふるさとでゆっくりしたい」と、約50年ぶりで島に戻ってきました。

後日、聞いた話を書き上げ、間違いがないか原稿を確認してもらおうと男性宅に行った時のことです。

貧しかった少年時代 集落で風呂を借りてまわった過去

「写真も載るの? 恥ずかしいね」

男性はそう言いながら、少し照れくさそうに原稿を読み始めました。

しばらくすると、目つきが少しぼんやりしてきて、何かを思い出しているような表情になりました。

そのうち、目に涙が浮かびました。

男性は「うん、うん、そうだったんだよな」と独り言のようにちいさく言って、かけていた老眼鏡をはずしました。

指で何度も涙をぬぐいました。

子供のころ、その男性の家は貧しくて自宅には風呂がなかったそうです。

仕方なく毎日、同じ集落の人に頭を下げ、風呂を借りていました。

「ここの集落の人は、みんな本当にやさしかった」男性は、そう話しました。

昔を思い出したのでしょう。男性が涙を浮かべたのは、この思い出を書いた部分でした。

言葉には力がある

僕が書いた文章を読んで、涙を流している人がいる。

何かを思い出し、何かを感じ、心を動かされている。

男性を見ながら、そんな風に感じました。

あらためて思いました。「言葉って力があるんだな」と。

同時に思いました。

「文章を書くこと以外で、僕は人の心をこんなに動かすことができるのかな」と。

 

できれば、人に感動してもらえる仕事をしたいです。認められたい、という願望も否定しません。

自分に何ができそうかと考えてみると、やっぱり文章を書く以外に思いつくものはありませんでした。

言葉って、いろいろな使い方があります。

物事を伝えたり、相手に思いを伝えたり、モノを売ったり、人をハッピーにしたり、ときに人を傷つけたり。

表現が正しいかどうかわかりませんが、言葉はとてもおもしろいです。

言葉に関わることができて、それを仕事にできるのなら幸せなんじゃないかと思いました。

昔「君が書いた文章のおかげで、真っ暗だった人生に光が差し込んだ」と言われたことが、一度だけあります。

もっともっと、そんな仕事がしたいなと思います。

 

 


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