現場に行こう、人と会おう、そして原稿を書こう ~涙が止まらなくなった取材~

ライター事務所「つむぎや」のアキラ(@510tsumugiya)です。

今回のテーマは「原稿(文章)を書くときの心構え」。

ですが、あらゆる仕事に通じる話だと思います。

まずは、取材中に涙が止まらなくなった場面を振り返ります。

幼い息子を事故で失った交通遺族の取材

2000年代。僕が新聞記者になって、まだ間もないころ。

地方で事件や事故を担当していたときの話です。

警察の交通安全運動キャンペーンに合わせて、啓発記事を書こうと思い立ちました。

取材対象に選んだのは、その1年前に幼い息子を交通事故で失った遺族です。

取材前、事故現場に行って手を合わせました。事故から1年も経っているのに、新鮮な花が供えられていました。

遺族の家に行き、まず仏壇にお参りさせてくださいと申し出ると、仏間に案内されました。部屋の中は、足の踏み場がないくらい無数のおもちゃやお菓子がびっしりと畳の上に置いてありました。

「女の子みたいにお花が大好きで」「プロ野球選手になりたいと」――。両親は、亡くなった息子への思いを、とめどなくしゃべりました。

母親は、息子が亡くなった後も毎食、息子の分の食事を作っていました。

「なあ、そうだろう?」――。家族は、そこに亡くなった息子がいるかのように話かけながら暮らしていました。

家族が外出するとき、必ず息子の写真も一緒でした。

涙でノートがぼやけ、メモが取れなくなる

話を聞いているうち涙でノートがぼやけてしまい、メモを取れなくなってしまいました。

記者の仕事に慣れてくると、事件や事故に対する感覚が麻痺してきます。

交通死亡事故などは取材する機会が多いので、原稿を書く行為も、まるで「作業」のようになってしまいがちです。

交通事故は、とてもありふれた事故かもしれません。ですが、決してありふれた結果にはならないことを学びました。

現場に行こう そして人と会おう

この取材を通じ、現場に行き、人と会い、そして原稿を書くことの大切さをあらためて感じました。

当初の「交通安全運動キャンペーンに合わせた啓発記事」という切り口で言えば、適当な統計データを引っ張ってきて、電話で識者や交通遺族団体に取材すれば、会社にいながらそれなりの形にはなったと思います。

ですが、それまできちんと取材をしたことがなかった交通遺族に直接会って深い話を聞いたり、遺族の表情や家の雰囲気を感じたり、事故現場に足を運び供え続けられる花を見たことなどを通じ、いろいろな「気づき」があり、結果として記事の厚みが増しました。

フリーライターも、やるべき取材は時間をかけて深く

フリーランスや個人事業主の方は、マンパワーも限られていますし、どうしても作業効率を優先しがちだと思います。

ライターの方もそうでしょう。ちょっとした記事なら、ネットと電話取材だけで済ませてしまう人も多いと思います。

ですが、現場に足を運んだり、人と会わないと分からないことって、やっぱりたくさんありますよね。そんな風に苦労して仕事をした時こそ内容の濃い文章が出来上がります。

そして、そんな仕事を続けるうちに「自分らしい文章」が形作られていくと思います。

見る人が見れば、その文章にどの程度、時間や労力を費やしたのかすぐに分かります。

文字数は重要ではありません。長いだけでスカスカの文章もあります。個人的には、短い文章ほど難しいです。

ライターとして独立しようという人、さらなる高みを目指そうとしている人、PV数だけでは図れない自分らしい文章とは何かを模索している方は、ぜひ時間をかけたライティングに挑戦する機会を増やしてほしいと思います。

僕も、まだまだ勉強中です。

一緒に頑張りましょう!


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