ライターのみなさん 文章直されると腹が立ちますか?

ライターなら避けられない文章の修正

ライター事務所「つむぎや」のアキラ(@510tsumugiya)です。

WEBライターであれ雑誌記者であれ、文章を書いて収入を得ている人なら、発注元や編集者から文章を修正された経験があると思います。

腹が立ちましたか?

嫌な気分になりましたか?

「こいつ、分かってねえな」と心の中で毒づいたりしませんでしたか?

普通、なりますよね。

きれいごとは言いません。苦労して書いた文章なのにあれこれ言われると、だれだってハッピーじゃないでしょう

みんな、そうですよ。僕もそうです。

でも、ちょっと考えてください。

ただ腹を立てて終わるのか、そこから何かを学ぶのか。

その違いがライターとしての成長に大きく影響します。今回はそんな話がテーマです。

「分かってないな、業界じゃこうなんだよ」

僕はライティングだけではなく、文章の校正業務も引き受けています。

以前、ある人が書いた建築関係の文章の校正を引き受けました。専門的な内容でしたが、対象としている読者は一般市民とのことでした。

文中に見慣れない単語が登場したので、辞書で調べました。が、やはり載っていません。文脈から意味を読み取ろうとしましたが、分かりません。

筆者に連絡しました。

私「この単語なんですが、辞書にも載ってない言葉で、文脈からも何のことか分からないので、分かりやすく説明する文章を入れた方がいいです」

筆者「それはね、おれが調査したときに名前がなかったから、俺が名付けたんだよ。辞書に載っている訳がない」

私「それなら、なおさら説明が必要だと思います。『~するのに用いる●●』といった一言でも十分だと思います」

筆者「あのね、建築の業界じゃ名前がないものに関しては名前を付けるんだって! そういう業界なんだ! 分かってないな!」

非常に不毛なやり取りでした。

筆者が訳の分からない主張(名前のないものには名前を付ける業界)を繰り返すのは、単に文章を修正するよう言われたのが気に入らなかっただけだと思います。

その気持ちは、まったく分からないわけではありません。

僕も上司に食って掛かっていた過去が

僕はフリーライターになる前、17年以上、新聞記者をしていました。

20代のころは、原稿を直されると、よく「デスク」(原稿をチェックする上司)に反発していました。

「じゃあ好きなように直してくださいよ!」「そんな風に直すのなら、原稿から僕の署名取ってください!」――。

デスクとのバトル後、受話器を叩きつけたことが何度もありました。

とりわけ文章を書くことを仕事にしている人は、文章を直されることを嫌います。

みんな、自分は相当文章がうまいと思っているからでしょう。それぐらいのプライドはあってもいいかな、とは思います。

確かに、文章を直す立場の人(編集者、デスク、校閲)の能力が、明らかに低い場合もあります。

そんな時は戦ってください。バカな修正をされてバカな文章が世に出れば、あなたがバカだと思われます。遠慮する必要はありません。

ですが、そういったケースは、実はそれほど多くはない、というのが僕の感想です。

編集者やデスクなどは、言い換えれば、いわば最初の読者です。

この人たちは、基本的に「文章の内容も背景も、まったく知らない立場」として原稿を読み始めます。

最初の読者が理解できなければ、その後ろにいる大勢の読者に、書かれている内容を伝えるのは難しいでしょう。

修正に応じる応じないは、結局プライドの問題

上記の「業界じゃこうなんだよ」発言の人も、おそらく自分の文章に欠陥があったことは、すぐに理解したと思います。

ただ、こういった場合は結局、理屈じゃないんですよね。プライドの問題です。

プライドが傷つけられて腹が立っているだけです。

的確な指摘を受けても、指摘した人が年下だったり、普段から自分より下にみている人だったり、自分の持ち味を理解しているとは思えない人だったりするだけで腹が立ちます。

僕は新聞社時代、デスク業務も経験していますが、その時に感じたことがあります。

他人の原稿を直すのは、とてもエネルギーを使う作業です。時間も手間もかかりますし、ライターに反発されることも覚悟しないといけません。

でも、やっぱり読者に変な文章は届けたくない。そんな責任感を感じるから、ライターに修正の指示を出すわけです。

何も言ってこない編集者、デスクのほうが逆に信頼できない、とまで思ってもいいと思います。

だれが読んでも完ぺきな原稿なんて、世の中にありません。

それに、文章には好みもあります。

直木賞作家の文章だって、そうとは知らずに「読んで修正しろ」と言われたら、あなただってバンバン直しますよ。

ちなみに「業界じゃこうなんだよ」発言をした人には、「言葉は読んだ人に何かを伝えるもの。読んでも意味が分からないのなら、書く意味がないですよね。何も届いていないんですから」と言いました。相当嫌な顔をされましたが……。

僕もよく文章を修正されます

サラリーマン時代を含め、20年ほど文章を書く仕事をしていますが、もちろん、いまだに原稿を修正されることはたくさんあります。

振り返ると、新聞記者になって10数年たったころから、原稿に関してあれこれ言われなくなっていました。

単純に、言いにくかったんだと思います。

僕もデスク業務をしていたとき、先輩の原稿を見て「直したいところはあるけれど、間違ってはいないし、まあそのままいこうか」とやってしまうこともありました。

現在は、文章の不備を指摘してくれる人が正直、とても貴重だなと思っています。ありがたい、とさえ思うこともあります。

ライター歴が長い人も、駆け出しの人も、自分の文章に対していろいろ指摘してくれる人は、大切にしてほしいと思います。

「こいつは言ってもしょうがない」と思われたら、ライターとしておしまいじゃないでしょうか。


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